症例紹介

歯の移植 症例1 43歳・女性

   歯の移植

歯の移植とは、患者さんの口腔内(口の中)で咬み合わせしていない歯を、以前歯のあった部分、又は抜かなければならない歯の部分に替りに移植する治療法です。これを「自家歯牙移植法」といいます。顎の形や大きさによるので、充分検査をして可能なら、ご相談の上行います。

図1

初診の上顎の口腔内写真。右上に3本連結された冠が入っている。(2003.5.23)

図2

患者さんの右側の口腔内写真。患者さんは、上顎の犬歯の2本後の歯の歯肉の部分が腫れてたので来院した。(2003.5.23)

図3

図2のX線像の奥から3本目の歯(第一大臼歯、6⏌)の根の尖には、大きな黒い膿の部分がみられるが、腫れている5⏌の歯根の先には、黒い部分は見られない。つまり、5⏌根尖部付近にみられる「サイナスクラスト」という膿の出口は、その原因が6⏌の根尖部にあるであろうと推察された。

図4

ここで、膿んでいる所(サイナストラクト、<瘻孔>)の穴から、ガッタパーチャーポイントという治療の材料を入れて、どこから膿みがでているか確認する。やはり6⏌の根尖からと診断できた。(2003.7.16)

図5

図4で診断ができたので、6⏌の冠を外したら、その後の、7⏌(第二大臼歯)、8⏌(第三大臼歯)の冠もう蝕(虫歯)でゆるんでいたのでいっしょに外れてしまった。3本共に、歯肉の下に達する深いう蝕であった。(2003.8.23)

図6

図5の6⏌は、診断の結果う蝕が重症で、歯を保存することは不可能と考えて、抜歯をすることとし、左下の親知らず(図6・⎾8、第三大臼歯)を右上の6⏌の跡に移植する計画をした。(2003.10.10)

図7

図7のX線像。左下の⎾8は、上に噛む歯がなく、かみ合わせの役にたっていなかったので、移植をすることにした。
しかし、この歯は、深いう蝕になっていたので、コンポジット・レジンでう蝕の治療をしてから移植を行った。(2003.8.23)

図8

6⏌を抜歯した直後のX線像。画面中央の黒い部分が抜歯した跡である。(2003.10.10)

図9

⎾8を6⏌の抜歯の後に移植を行ったところ。図8は移植した直後のX線像。(2003.10.10)

図10

図9の口腔内写真。移植した歯が脱落しないように手術用の糸で固定している。(2003.10.10)

図11

移植して固定された新しい6⏌の根管へ薬(根管充填剤)を充填しているところ。移植から21日目であるが、移植した歯は、ほとんど動かない。(2003.10.31)

図12

7⏌もう蝕がひどく抜歯しか選択できなかったため、8⏌を7⏌の跡へ移植した。図13は、その直後のX線像。(2004.1.31)

図13

6⏌への移植から約7ヶ月目。右上の4本の歯の治療が完成した時のX線像。6⏌の根の先にあった黒い影はほとんど消失していて、骨が新しく出来たことを示す。

8⏌を7⏌の部位へ移植から約4ヶ月目である。(2004.6.1)

図14

図13と同じ場所、同日の口腔内写真。4本共に冠が安定し、装着されている。(2004.6.1)

※掲載されている症例はすべて当院院長今井文彰が治療したものです。

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 「再植」とは、歯の根の先に膿がある時などで、根管治療によって膿の治療ができない時に、歯を一時抜いて、根の先を封鎖する治療を行い、すぐにもう一度埋め戻して治す方法です。
移植や再植ができない時、人工の歯根を入れて冠をかぶせる方法もあります。これを「インプラント」といいます。

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